東芝より,次世代DVD規格「HD-DVD」(以下HD)に沿った再生機が

ブルーレイディスク(以下BD)再生機に先立って発売された。

BD再生機も追って発売される予定で,あとはコンテンツ次第ということになるだろう。


この様相は,「VHS vs ベータ」に例えられるのはもちろんのこと,

ゲームハード業界にもなぞらえることができる。

ハードはとりあえず複数規格を発売してしまい,コンテンツと消費者が判断する状況だ。

こうなると,例えば同質的製品(かつ同時発売,同価格)ならば,

やりたいゲームが出ているハードを買う,というのが通例だ。

だから,コンテンツサプライヤーを我が陣営に引き込むことが重要となっている。

したがって,「市場が決める」という表現があってもそれは

「消費者が決める」とイコールではなくてむしろ「サプライヤーが決める」ということが大きい。


ところで話は変わってPS3の発売延期が,ゲーム開発の遅れが理由ではないのかとの噂がある。

「セル」プロセッサの複雑性のために,プログラミングが複雑になりコンパイラの開発が遅れ,

開発環境のサプライヤーへの提供が遅れていたために,ゲームそのものがまだ作れない

というものだ。


一方ゲームキューブ(以下GC)とほぼ同スペックで,開発環境もGCとあまり変わらないとされる

レボリューションに関しては,そのようなことはあまりないと考えられるし,

実際任天堂もそれをウリにしている。事実としてサプライヤーもそれをある程度歓迎しているだろう。


この結果として,サプライヤーがレボリューションがサプライヤーを引き込めば

据え置き機競争は現在のソニー独り勝ち状況をひっくり返すことになる。

実際,PS発売時はソフト流通の改革でサプライヤーを引き込んだのであるし。


ハード企業は,おごってはいけない。

ファミコンにしても,任天堂の価格や製造に関する権力には周りも辟易していたというし,

PSにしても,ハードスペック信仰にとらわれてサプライヤーを見なくなっているようだ。

ハードはソフトの単なる再生機であることを忘れてはいけないだろう。

だがしかし優良な再生機は,サプライヤーにとって必要であることもまた当然だ。


私はDVDの規格競争に,HDが勝つのではないのかと見込んでいる。

その形状,価格に関して,現行DVDからスムースに移行できる位置取りではないだろうか。

それは消費者にとってもそうだが,コンテンツサプライヤーにとっても当然,

リスクをともなう大移動よりは,確実な小移動が賢明な判断と考えるように思う。

そもそもコンテンツ業界が,次世代DVDをそれほどまでに望んでいるかどうかだ。

業界の人間ではないのでなんとも言えないが,次世代DVDは必要性よりも

技術進歩にともなって生まれてきたという側面の方が大きいのではないか。


結果としてとりあえずHDに参入するメーカーが増えれば,低価格なHDに消費者も流れ,

BDのコンテンツ不足と高価格により,BD自体の大量生産による低価格化も実現されない

ような気がする。


ただBD対応機であるPS3の発売問題はネックとなってくるのではないかとは思う。

これについてはまだ未知過ぎてなんとも言えないが,PS3でキラーコンテンツが出るかどうかだ。

これによってBD陣営の巻き返しが始まれば,BDの時代が来るかもしれない。